フリーランスの住民税|6月に突然来る通知書に慌てないための準備
「確定申告、終わった〜!」
3月にそうやって一息ついた数ヶ月後。6月になると、見慣れない封筒が届く。
開けてみると、大きな数字が並んだ紙が4枚。
これが、フリーランスが自分で払う「住民税の納付書」です。
わたし自身、会社員を6月に辞めてフリーランスになった年に、この封筒を初めて受け取りました。
転職のタイミングもあって、途中から自分で払うことになったときの金額に、正直かなり驚きました。
それ以来、毎年6月が来るたびに「今年はいくらだろう」とドキドキする。
これ、フリーランスあるあるではないでしょうか。
でも、仕組みを知っておくと、少しだけ心の準備ができます。
今回は、フリーランスの住民税について整理してみます。
フリーランスの住民税、会社員と何が違う?

住民税の仕組みそのものは、会社員もフリーランスも同じです。違うのは、払い方。
会社員のときは、毎月の給与から自動で天引きされていました(特別徴収といいます)。意識しなくても払えていたので、「住民税を払っている」という実感がほとんどない。
でも、フリーランスになると、自分で納付書を使って払う「普通徴収」に変わります。
金額は変わらないのに、自分の手で払うからこそ「高い」と感じやすい。
会社員時代に気づかなかっただけで、実はずっと払っていた税金です。
6月に届く封筒の正体
毎年6月ごろ、自治体から「住民税決定通知書」が届きます。
これは、2〜3月に済ませた確定申告のデータをもとに、自治体が住民税を計算して送ってくれるもの。自分で別途申告する必要はありません。確定申告をしていれば、自動的に計算してもらえます。
封筒の中には、納付書が4枚入っています。
これが、1年分の住民税を4回に分けて払うための用紙です。
いつ払うの?支払いスケジュール
支払いは年4回です。
払い方は、コンビニ・金融機関・口座振替・スマホ決済など。
自治体によって使えない方法もあるので、通知書を確認してみてください。
一括払いを選ぶこともできます。
まとまった資金がある場合は、一括で済ませてしまうのも手です。
住民税はいくら?計算のしくみ
市区町村民税 6%
市区町村 3,000円
住民税は、大きく2つの部分で構成されています。
所得割は、前年の課税所得に対して一律10%かかる部分(都道府県民税4%+市区町村民税6%)。
均等割は、所得に関わらず一定額かかる部分で、標準は年5,000円程度です。
計算のもとになるのは「前年の所得」。
確定申告で申告した内容が使われます。
ひとつ注意しておきたいのが、所得税と住民税では控除の金額が微妙に違うこと。
たとえば基礎控除は、所得税が48万円なのに対して住民税は43万円です。
そのため、「所得税はゼロだったのに、住民税は少しかかった」というケースも出てきます。
なぜ「高い」と感じるのか
住民税が高く感じる理由は、主に3つあります。
1つ目は、前年の所得で決まること。
たとえば、会社員として働いた年の所得が高かった場合、翌年にフリーランスになっても、前年分の住民税は高いまま請求されます。
わたしが6月に退職してから届いた封筒の金額が大きかったのも、これが理由です。
「今の収入」ではなく「去年の収入」で決まるタイムラグが、特に転職・独立のタイミングで大きく響きます。
2つ目は、所得に関わらず一律10%であること。
所得税は所得が低いほど税率も下がりますが、住民税の所得割は一律10%。
低い所得でも割合が変わらないので、体感的に「重い」と感じやすいです。
3つ目は、まとめて請求されること。
会社員のときは毎月少しずつ天引きされていたのが、フリーランスになると6月にドンとまとまった通知書が来る。
心理的なインパクトが全然違います。
むしろ、仕組みを知らなかっただけで、払っている金額自体は変わらない。
そう思うと、少し気が楽になりませんか。
これから退職を考えている人へ

余談ではないのですが、ひとつ伝えておきたいことがあります。
フリーランス1年目は、前年の会社員時代の収入をもとに住民税が計算されます。
つまり、収入がまだ安定していない時期に、会社員時代の高い税額が請求されるという状況になりやすい。
しかも住民税だけではありません。
会社員を辞めると、健康保険も国民健康保険に切り替わり、これも自分で払うことになります。国民年金も同様です。
退職直後は収入の見通しが立ちにくい時期なのに、出ていくお金はいきなり増える。
この「最初の1年の重さ」は、独立前に知っておくかどうかで、精神的な余裕がかなり変わります。
これから退職・独立を考えている方は、住民税・国民健康保険・国民年金の3つを合わせた金額を、事前に貯蓄として確保しておくことを強くおすすめします。
目安として、前年の住民税額がわかる方はその金額を、わからない方は「課税所得×10%+均等割」でざっくり計算してみてください。
住民税を減らすためにできること
「払う額を抑えたい」なら、課税所得を下げるしかありません。
フリーランスが取り組みやすい方法を3つ紹介します。
ふるさと納税
ふるさと納税は、寄付した金額が住民税から直接控除される制度です。しかも返礼品までもらえる。
フリーランスは確定申告が必須なので、ワンストップ特例は使えませんが、確定申告で寄付金控除を申告すれば同じように適用されます。
住民税の通知書を見て「もっと早くやればよかった」と毎年後悔する前に、今年の分はしっかり活用したいところです。
青色申告の特別控除(65万円)
青色申告をしていると、最大65万円の特別控除が受けられます。
課税所得が65万円減れば、住民税も所得税も下がります。
フリーランスになったばかりで白色申告のままという方は、来年分から切り替えを検討してみてください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、毎月積み立てた掛け金が全額、所得控除の対象になる制度です。
住民税と所得税を同時に下げながら、老後資金も積み立てられる。
フリーランスにとって、これほど一石二鳥な制度はあまりありません。
フリーランス(国民年金第1号被保険者)の掛け金の上限は月6.8万円(年間81.6万円)。会社員より上限が大きいぶん、節税効果も高くなります。
節税の仕組みはシンプルで、掛け金の分だけ課税所得が減り、住民税(所得割10%)と所得税が下がります。
たとえば毎月1万円積み立てれば、年間12万円分の課税所得が減る計算です。
さらに、iDeCoには所得控除以外にも2つの税制メリットがあります。
運用中に出た利益(運用益)に税金がかからないこと、そして60歳以降に受け取るときにも税制優遇があること。老後の備えをしながら、今の税負担も下げられる制度です。
ただし、ひとつ大事な注意点があります。
積み立てたお金は原則60歳まで引き出せません。
毎月の掛け金は、今の生活を圧迫しない範囲で無理なく設定することが大切です。
iDeCoの控除は自動では適用されません。
確定申告のときに「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して申告することで、はじめて控除が受けられます。
毎年秋ごろに証明書が届くので、なくさないよう保管しておきましょう。
資金繰りのために意識していること
住民税は「まとめて来る」のが怖いところ。
特に独立1〜2年目は、前年の会社員時代の所得分が来るので、金額が大きくなりがちです。
わたしがやっているのは、確定申告が終わったタイミングで、住民税の目安額を会計ソフトで確認しておくこと。
前年の課税所得がわかれば、おおよその住民税額(課税所得×10%+均等割)が計算できます。
6月の封筒が来る前に「だいたいこれくらいかな」と見通しが立っていると、慌てずに済みます。
会計ソフトを使っていると、こういう「先を見越した資金管理」がしやすくなりますよ。
まとめ
住民税は、知っておくだけで6月の封筒が怖くなくなります。
仕組みを理解したうえで、使える制度は早めに動いておくのが、フリーランスの税金との付き合い方だと思っていますので、ぜひ参考にしてください。

