終身雇用といわれていた時代はとっくに過ぎ去り、「石の上にも3年」という言葉でさえ今やもう気にするなんて古いと言われる時代になりました。
40代に突入すると、いろんな意味でこの先の自分の人生のあり方を考え直す人が多々あるのではないでしょうか。
実際、私自身40代に突入したことをきっかけに、組織人をやめる決意をした一人です。
それなりに独立する前に、いろいろ調べたつもりですが、実際に自分が経験してみて調べが足りなかったことがいくつかありました。
これから独立を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
- 独立を考えいる方
- 副業をしたいけど、何から始めたらいいかわからない方
- ブログで収益が安定してきた方
また、自分が経験した中で、この順番でやったらよかったという流れで書いていますが、あくまでも私なりの経験値ですので、順番については気にせずやってみてください。
個人事業主とは
まず、個人事業主について確認をしましょう。
個人事業主というのは、法人を設立せず個人で事業を営む人のことです。
「個人で事業を営む」というのは、事業で収入を得る=「事業所得」を得ているという状態のことです。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁 (nta.go.jp)
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
一般の給与所得者が給料のほかに収入を得たときは、「雑所得」として扱われる場合が多いです。
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
No.1500 雑所得|国税庁 (nta.go.jp)
「事業所得」と「雑所得」があることはわかったけど、具体的にはどう違うの?
いいことに気づきましたね。
事業の中身について、もう少し細かく見てみまししょう。
個人事業主が行う「事業」は、反復して、継続して、独立している仕事のことです。
反復とは、文字通りその仕事を繰り返して行うこと。
継続とはその仕事をずっと行うことです。
どちらもフリマサイトなどで不用品を売るように、販売したいものがあったときにだけ何かを売るというようなものは継続性がないので事業といいません。
ですので、ブログでちょっと収益が出たレベルであれば、事業所得として扱われない場合もあります。
ただ、いろいろ難しく思うかもしれませんが、個人事業主として開業する手続きはただ一つ。
税務署に「開業届」を提出する。
たったこれだけです。
これから個人事業主になる人必見!事前に準備すること
まずは、個人事業主として事業をする前に準備することをを見ていきましょう。
事業印鑑の作成
個人で事業を始めるとき、事業専用の印鑑が必要になります。厳密な決まりはありませんので、個人の印鑑を使っても問題はありませんが、最初は、申込書や契約書の記載で何かと印鑑を求められることが多くあります。
脱ハンコ化が言われていますが、自分がよくても取引先の人によっては押印を重んじる会社もまだまだ多くあります。
小さなことで事業の範囲を狭めてしまうことがないようにして準備しておきたいですね。
個人事業主の場合登記の必要はありませんが、銀行印、屋号がある場合は屋号を表す会社の印鑑は作ったほうがいいと思います。
屋号とは店名、あるいは事務所名などの名称である。屋号は個人でも持つことができる。例えば、個人でデザイナーの仕事をしていれば、「田中デザイン事務所」といった名称の屋号をつけることができる。
屋号(やごう)とは何? Weblio辞書
クレジットカードの作成
これから事業を始める人はクレジットカードの作成は必須です。
個人のカードでも使えますが、事業のお金と個人のお金をしっかり分けるという意味でも作成しておいたほうがいいでしょう。
カード会社によっては会社を辞めると審査が通りにくくなりますので、カード作成については会社を辞める前に行っておいたほうが後々の不安が少なくて済みます。
また、できれば一般カードよりビジネスカードを作成するほうが付帯サービスが多いのでおすすめです。
カード会社については、事業の内容や用途にもよると思いますので、以下のようなポイントで選んでみてください。
- 初年度から利用限度額の枠十分に設定されていること
- 年会費が高すぎないこと
- 付帯サービスが多いこと
- 会計ソフトとの連携が豊富なこと
個人事業主として事業をするために準備すること
開業届の提出
個人事業として行う事業の計画が立てられたら、いよいよ「開業届」の提出です。
「開業届」に記載する内容は以下の通りです。
- 提出先・提出日
- 納税地・住所
- 氏名・生年月日・個人番号
- 職業・屋号
- 届出の区分・所得の種類
- 事務所等を新設した日
- 開業に伴う届出書の提出の有無
- 事業の概要
- 給与等の支払の状況
開業届の用紙は、国税庁のホームページで入手することができますし、後にも取り上げる会計ソフトを導入すると、簡単に作成できます。
事業開始から1か月以内に提出することになっていますが、口座開設の際にも必要になってきますので、事業開始の準備ができたらすぐに提出しましょう。
提出先は、管轄する税務署になります。
窓口で提出する以外に、郵送やe-Taxでの提出も可能ですが、私は覚悟を決めるという意味で窓口に提出しました。
銀行口座の開設
次は、銀行口座の開設です。
銀行口座の開設は必ずしも必要ではありませんが、クレジットカード作成の際にも記述したように、事業のお金と個人(プライベート)のお金を分けるという意味で、新たに準備しましょう。
屋号で事業をする方は、税務署の受付印がついた「開業届」が必要
となります。
私はこれを知らなかったので、開業届を出す前に銀行口座開設をしてしまい、屋号をつけることができませんでした。
どちらにしても屋号で事業をする人、青色申告をされる人は帳簿をつける上で作業が格段に変わってきますので、口座を開設しましょう。
また、口座開設と同時にネットバンキングの手続きも必ず済ませてしまいましょう。
個人で事業をしていると、銀行に行く時間がとれません。
また、収益が落ち着くまでは、資金繰りなども考えなければなりません。
資金管理をオンラインで行うなど、効率化できるところは積極的にしましょう。
会計ソフトとの連携にもネットバンキングが必須となってきます。
自分の事業をアピールする場所(SNSなど)をつくる
事業開始の準備ができたら、自分の事業をするアピールする先を作りましょう。
SNSなど無料で行うこともできますが、個人事業主は法人と比べてどうしても信頼度が落ちてしまうという残念なところがあります。
「ホームページ」は信頼につながるものですので、ぜひ開設を検討しましょう。
今までの人脈で仕事をするというのであれば、最初のうちは必要ないかもしれませんが、ホームページがきっかけで新しいお客様と知り合うチャンスも生まれます。
自分の事業の可能性を広げるという意味でも、ホームページは取り入れたいものです。
知識がない方も、ココナラなどで相談に乗っていただけます。
自分に知識がない部分は、外部の専門家の知識・技術を借りることで、自分の事業に集中できる環境を作りましょう。
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名刺の作成
ホームページとあわせて作っておきたいのが、名刺です。
会社を辞めて所属する場所がなくなったとき、ビジネス上で自分の身分を示すものがないということを不安に思いました。
また、まだまだ日本は「どこの・だれ」が求められると痛感もしました。
コロナ禍で対面する機会も減りましたので出番は格段に減りましたが、最小限のロット枚数くらいは作成しておいて損はないと思います。
会社に勤めているときと違って、自分好みで作成できるのも楽しいです。
オシャレな名刺のデザインを簡単に作れるサイトもありますので、自分らしさを出した名刺を考えてみてください。
会計を考える(会計ソフトの導入)
個人事業主が確定申告を行うには、帳簿の作成と保存が義務となります。
帳簿の種類には、大きく「主要簿」と「補助簿」の2種類あり、白色申告をする場合は「補助簿」のみの作成で大丈夫ですが、青色申告の55万円控除(e-Taxを利用する場合は65万円控除)を受けるためには「主要簿」の作成が必要となってきます。
簿記の知識がない人にとっては正直大きなハードルとなりますが、会計ソフトを導入することで知識がなくても帳簿を付けることができる便利な時代になっています。
年間数万円の契約で、55万円の控除が受けられるのなら利用しない手はないですよね。
また、青色申告の場合は、赤字になった場合も3年間であれば繰り越せるという優遇措置もあります。
ぜひ、会計ソフトを使って控除を受けられるようにしましょう。
会計ソフトについては、導入時期や自分の支出の状況に応じて、以下のようなポイントで選んでみてください。
- 使用するクレジットカード、銀行口座などと自動連携ができる
- 細かく支出がある人は、スマホなどからレシートが読み込める
- 仕訳などがわからない場合のサポートがある
番外編:「もしも」の時の補償を考える
フリーランスとして自由な働き方を選び、これから頑張ろうと意欲があっても、「もしも」のことを考えるものではないでしょうか。
収入面もそうですし、健康面にも不安が尽きません。
会社に勤めていたころのように、有給もなければ、労災もありません。
働く時間は自分で決められますが、休めばその分収入に直結します。
でも、これがフリーで働くということです。
心配なことはこれだけではありません。
在宅やカフェなど場所を選ばず自由に仕事ができるようになりましたが、情報漏洩などの心配もあります。
会社であればその組織でしっかり対策をしてくれますが、個人となるとウイルス感染などの対策もすべて自分でやらなければいけません。
情報漏洩や自分の作成したデータのウイルス感染など、一度起こしてしまったらその後の仕事にも大きな影響を与えます。
何か大きな損失が発生してしまったら…
細心の注意を払うのはもちろんですが、何かあったときの補償を考えておくだけで、自分が本来やるべき仕事に集中できます。
インターネットが普及している今だからこそ、様々なリスクが起こりえます。
その「もしも」のときのことを考え、対策しておくことも必要です。
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まとめ
自分が個人事業主としてスタートするときに、準備をしたことや知識不足だったことをまとめました。
誰もが初めてのことですので、不安や心配なことも多いと思います。
私の場合、会計知識がほぼゼロに近かったので、いかに負担なく会計帳簿をつけるか=会計ソフトを効率的に取り入れるかを中心に考えました。
個人で事業をしようとすると、責任は自分がとらなければいけません。知りませんでしたでは済まなくなりますし、自分の事業にも影響が出てしまいます。
後からトラブルにならないように、必要最低の手続きは早めに済ませ、事業に全力を注いでいただければと思います。