フリーランスの退職金は自分で作る|小規模企業共済のメリット・デメリットを40代が正直に解説
「退職金、ないんだよなあ」
フリーランスになって数年が経ったころ、ふとそう思いました。
会社員のころは「いつかもらえるもの」として漠然と存在していた退職金。でも独立した瞬間に、それはなくなる。
年金も、会社員より少ない。傷病手当金もない。
老後の備えを全部、自分でやらなければいけない——そのことを改めて実感したのは、確定申告で自分の収入と税額を見つめていたときでした。
この記事では、フリーランスの「退職金代わり」として使える小規模企業共済について、メリットとデメリットをできるだけ正直に書きます。
※この記事は情報提供を目的としています。個別の判断はFPや専門家へのご相談をおすすめします。
小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、国が運営するフリーランス・個人事業主向けの退職金積み立て制度です。
運営しているのは独立行政法人・中小企業基盤整備機構(中小機構)。
民間の保険会社ではなく国の機関が運営しているため、信頼性は高いとされています。
2026年1月時点で約169万人が加入しており、資産残高は11兆円を超えています。
仕組みはシンプルで、毎月掛金を積み立て、廃業・引退・死亡などの際に共済金として受け取るというものです。
掛金は月額1,000円〜70,000円(500円単位)で自由に設定でき、途中で増減することも可能です。
フリーランスに小規模企業共済が向いている理由
フリーランスには、会社員が当たり前に持っている「老後の備え」がありません。
厚生年金
退職金がなく、年金も国民年金のみ(厚生年金なし)。
老後に受け取れる年金額は、会社員と比べてかなり少なくなります。
だからこそ、自分で退職金を作る仕組みが必要になります。
小規模企業共済はその選択肢のひとつです。
小規模企業共済の3つのメリット

メリット① 掛金が全額、所得控除になる
小規模企業共済の最大のメリットは、支払った掛金が全額、所得控除の対象になることです。
たとえば月3万円(年間36万円)掛けている場合、36万円分が課税対象の所得から差し引かれます。
所得税率20%の方であれば、所得税だけでも年間約7万2,000円の軽減効果が見込めます。さらに住民税の負担軽減もあるため、実際の節税効果はより大きくなります。
積み立てながら節税もできるという点では、iDeCoと似た仕組みです。
ただし、小規模企業共済は個人事業主や小規模企業の経営者・役員などを対象とした制度で、加入には業種や従業員数などの条件があります。
フリーランスの方でも、条件を満たせば活用できる制度です。
メリット② 受け取るときも税制優遇がある
積み立てた共済金を受け取るときにも、税制上の優遇があります。
一括で受け取る場合は退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。
分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。
どちらも通常の所得よりも税負担が軽くなる仕組みです。
メリット③ 低金利の貸付制度が使える
加入者は、積み立てた掛金の範囲内で低金利の貸付制度を利用できます。
借入限度額は、掛金の納付月数などに応じて決まり、一般貸付けは年1.5%、特別貸付けは年0.9%の利率で利用できます。
また、条件を満たせば即日で借り入れできる場合もあります。
フリーランスは、収入が不安定になる時期があります。
そうしたときの緊急資金として活用できる点は、民間の積み立て商品にはないメリットです。
小規模企業共済の3つのデメリット

正直に書きます。メリットばかりではありません。
デメリット① 20年未満の任意解約は元本割れする
小規模企業共済で最も注意が必要なのが、任意解約した場合の受取額です。
廃業・引退・死亡による受け取りなら問題ありませんが、「やっぱりやめよう」と自分の都合で解約する場合(任意解約)は、加入期間が20年未満だと受け取れる金額が掛金の合計を下回ります。
12ヶ月未満の場合は、解約しても一切受け取れません。
「収入が減ったからいったん解約しよう」と気軽にできない制度です。長く続けられる前提で加入することが重要です。
デメリット② 運用利率は低め
小規模企業共済の予定利率は年1.0%(2026年1月時点)です。
NISAやiDeCoで株式に投資した場合の期待リターンと比べると低く、インフレが続く状況では実質的な資産価値が目減りするリスクもあります。
「節税しながら老後資金を積み立てる」制度であって、「お金を増やす」投資とは性質が異なります。
デメリット③ 加入・手続きが窓口中心でやや手間がかかる
小規模企業共済は、加入時に必要書類の準備や本人確認などが必要です。
現在はオンラインでの加入申込みも可能ですが、マイナンバーカードやスマートフォンが必要になるなど、人によっては手続きに少し手間を感じる場合があります。
また、窓口で手続きする場合は、中小機構が指定する金融機関や商工会議所などを利用する必要があります。
制度内容を確認しながら申し込む必要があるため、民間のネット完結型サービスと比べると、やや手続きが重く感じられるかもしれません。
こんな人に向いている、こんな人には向いていない
フリーランスを始めたばかりで収入が安定していない時期は、無理に加入しなくてもよいと思います。
まずは生活防衛資金を確保して、収入が安定してきてから検討するのが現実的です。
iDeCoやNISAとの違いは?

老後資金の積み立て手段として、iDeCoやNISAと比較されることが多いです。
簡単に整理します。
ただし、何をどれくらい積み立てるべきかは、現在の収入・支出・老後の目標額によって大きく変わります。
自分の状況に合った判断をするためには、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談が有効です。
自分に合った老後資金の作り方、FPに相談してみませんか
小規模企業共済が自分に合っているか、iDeCoと組み合わせるべきか、掛金はいくらに設定するべきか——これらは一般論では答えが出ません。
収入・支出・家族構成・将来のライフプランによって、最適な組み合わせは人それぞれ違います。
FP(ファイナンシャルプランナー)への無料相談を使うと、自分の状況を踏まえた具体的なアドバイスをもらえます。
「老後資金が不安だけど何から手をつければいいかわからない」という段階でも、相談できます。
まとめ
フリーランスの老後資金は、誰も作ってくれません。
退職金も、厚生年金の上乗せも、ない。だからこそ、自分で仕組みを作るしかない。
小規模企業共済は、節税しながら退職金を積み立てられる国の制度です。ただし、長期継続が前提で、途中解約には注意が必要です。
まずは「自分は加入すべきか」「掛金はいくらが適切か」を確認するところから始めてみてください。

