「え、こんなに払うの……?」

独立して最初の夏、国民健康保険料の通知書を見て固まりました。

住民税の通知書が来たと思ったら、今度は健康保険料の通知書。
しかも金額が思っていたより全然多い。

フリーランスの夏は、お金が出ていくことばかりです。

でも、仕組みを知っていれば、「なぜこの金額なのか」は理解できます。
知らないまま払い続けるより、わかったうえで向き合う方がずっとラクです。

今回は、フリーランスの国民健康保険料について整理します。

フリーランスが加入できる健康保険の種類

会社員を辞めてフリーランスになると、健康保険を自分で選ぶ必要があります。
選択肢は主に3つです。

国民健康保険
フリーランス・自営業者が加入する基本の選択肢。都道府県・市区町村が運営。条件がなければほとんどのフリーランスはこちらに加入。
基本の選択肢
任意継続
退職後も最長2年間、会社の健康保険に加入し続ける制度。保険料は全額自己負担だが、国保より安くなるケースも。独立直後に比較検討する価値あり。
退職後2年間限定
国民健康保険組合
医師・建設・文芸など特定の業種に従事する人が加入できる組合。国保より保険料が安く給付が充実していることも。加入条件は組合によって異なる。
特定業種のみ

独立直後は国保と任意継続を比較してみることをおすすめします。

退職後2年間は任意継続を選べますが、2年後は国保に切り替わります。

なぜ「高い」と感じるのか

国民健康保険料が高く感じる理由は、主に3つあります。

会社員の健康保険
フリーランスの国保
保険料の負担
会社と折半(約半額)
保険料の負担
全額自己負担
扶養家族の保険料
追加負担なし
扶養家族の保険料
人数分の均等割あり
傷病手当金
あり
傷病手当金
なし
出産手当金
あり
出産手当金
なし

1つ目は、保険料を全額自己負担すること。

会社員のときは、健康保険料を会社と折半していました。つまり、本来の保険料の半分しか払っていなかったわけです。フリーランスになると、その全額を自分で払うことになります。単純に計算すると、同じ所得でも負担額が約2倍になります。

2つ目は、前年の所得で保険料が決まること。

国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。会社員として稼いだ年収が高かった場合、独立直後でも「前年の高い所得」をベースに保険料が請求されます。「今の収入」ではないので、独立1年目に金額を見て驚く人が多いのはこのためです。

3つ目は、傷病手当金・出産手当金がないこと。

会社員の健康保険には、病気やケガで働けなくなったときの「傷病手当金」、出産時の「出産手当金」があります。国民健康保険にはこれらがありません。保障が薄いのに保険料は高い、というのがフリーランスにとっての現実です。

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保険料の計算のしくみ

国民健康保険料は、3つの部分で構成されています。

全員が対象
医療分
病院での診療・入院などの医療サービスを支える財源。保険料の中で最も大きい部分。
所得割
+均等割
+平等割
全員が対象
支援分
75歳以上の後期高齢者医療制度を支えるための保険料。現役世代が一部を負担。
所得割
+均等割
+平等割
40〜64歳のみ対象
介護分
介護保険制度を支えるための保険料。40歳になると自動的に加算される。
所得割
+均等割
保険料率は自治体によって異なります。正確な金額はお住まいの自治体のシミュレーターでご確認ください。

それぞれの金額は、以下の要素を組み合わせて計算されます。

  • 所得割:前年の所得をもとに計算される部分
  • 均等割:加入者一人あたり一律で課される部分
  • 平等割:世帯ごとに一律で課される部分(自治体によって導入有無が異なる)

保険料率は自治体によって異なります。
東京都新宿区の場合、40歳未満・年収300万円の方の年間保険料の目安は約33万円(月約2.8万円)です。

正確な金額は、お住まいの自治体のウェブサイトにあるシミュレーターで確認するのが確実です。

7月に届く通知書の見方

住民税と同じく、国民健康保険料も毎年7月ごろに通知書が届きます。

前年の所得をもとに自治体が計算して送ってくれるので、自分で申告する必要はありません。確定申告のデータが使われます。

納付は6月〜翌年3月の年10回払いが基本です(自治体によって異なります)。
口座振替・コンビニ・金融機関・スマホ決済などで支払えます。
自治体によっては、一括払いで割引になる場合もあります。

住民税と同様、夏に一気にやってくる大きな出費のひとつです。
確定申告が終わったタイミングで、保険料の目安を自治体のシミュレーターで把握しておくと、7月に慌てずに済みます。

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保険料を抑えるためにできること

国民健康保険料は「前年の所得」がベースになるので、課税所得を下げることが保険料の節約につながります。

所得控除を活用する

青色申告の65万円控除、iDeCoの掛け金控除、ふるさと納税の寄付金控除などを活用すると、課税所得が下がり、保険料も下がります。

「確定申告でしっかり控除を使う」ことが、保険料節約の基本です。

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収入が減った年は減免申請を検討する

前年より収入が大幅に下がった場合、自治体の減免制度を使える可能性があります。

減免の条件は自治体によって異なりますが、7割・5割・2割の3段階の軽減が受けられるケースもあります。

「払えない」と放置するより、まず自治体の窓口に相談することをおすすめします。

独立直後は任意継続と比較する

退職直後は、任意継続の方が保険料が安くなるケースがあります。

退職前の標準報酬月額をもとに計算されるため、前年の所得が高い場合は国保より割安になることも。

ただし任意継続は最長2年間の制度です。

2年後は国民健康保険に切り替える必要があります。

退職を考えている人へ

余談ではないのですが、これから独立を考えている方にひとつ伝えておきたいことがあります。

会社員を辞めると、住民税・国民健康保険料・国民年金の3つが一気に自己負担になります。
しかも、どれも「前年の収入」をベースに計算されるため、独立1年目の負担が特に重くなりがちです。

独立前に、この3つの合計額を試算して、その分を貯蓄として確保しておくことを強くおすすめします。

住民税は課税所得×10%+均等割、国民健康保険料は自治体のシミュレーターで試算できます。国民年金は2025年度で月額16,980円(年間約20万円)です。

知っておくだけで、心の準備がまったく違います。

また、いずれ会社員に戻ることを考えているなら、独立直後は任意継続と国保の保険料を必ず比較してください。
前職の給与水準によっては任意継続の方が割安になるケースがあります。
どちらが得かは人によって異なるので、退職前に一度シミュレーターで確認しておくと安心です。

まとめ

この記事のまとめ
フリーランスの保険料は全額自己負担。会社員時代の約2倍になるケースも
前年の所得をもとに計算される。独立1年目は会社員時代の所得がベースになり負担が大きい
保険料は医療分・支援分・介護分の3つで構成。自治体のシミュレーターで目安を確認できる
青色申告・iDeCo・ふるさと納税で課税所得を下げると保険料も下がる
独立前に住民税・保険料・国民年金の3つを試算して、その分を貯蓄として確保しておく

国民健康保険料は、仕組みを知れば「なぜこの金額なのか」が見えてきます。

高いと感じるのは事実ですが、使える控除を活用して課税所得を下げる、収入が減った年は減免を検討するなど、できることはあります。

夏の通知書が届く前に、一度シミュレーターで目安を確認しておくと、心の準備ができます。